お金のお話 その3
お金が増えること、金利のこと
ちょうろがベンチの上で日向ぼっこしています。
そこにとらごろが走ってやってきました。
ちょうろセンセ、起きてますか?
すこしうとうとしていたが大丈夫じゃ。
それじゃ、お金のお話の続きを聞いてもいい?
ええよ。
面白い話じゃからな。
ちょっと確認させてね。
お金は、【価値の交換ゲーム】で使う数字だったんだよね。
みんながそれぞれ売ったり買ったりして、みんなの間でお金がぐるぐる回ってる。
それだけだとお金の全体の量は変わらない。
じゃあいつお金が増えるのかと言うと、
銀行に誰かが借金するとその分のお金が増える。
借金を返すとその分のお金はゼロに戻る。
これでよかったかな?
そうじゃ。
とらごろはしっかり覚えているのぉ。
今日は何が聞きたいかね?
ゼロに戻るお金のことをずっと考えてたんだ。
銀行はお金を貸して、返してもらう。
銀行は損してないけど得もしてない。
銀行ってなんでそんなことするのかよくわらないんだ。
いいところに気がついたね。
そうじゃ、銀行はただお金を貸すだけだと何も得はない。
実際には、お金を貸す時に手数料として金利というものをもらうんじゃ。
金利というものはすごく重要だから後でしっかり考えよう。
けどな、ただお金を貸すってことをもう少しだけ考えてみようか。
銀行が誰かにお金を貸しても銀行自体は損も得もしていない。
そう言っておったがそれは本当かな?
銀行は通帳に数字を書き込むだけでいいのじゃ。
じゃあお金を借りた人はどうなるのじゃ?
そりゃ、働いてお金を返さないといけないよ。
そうじゃな。
一方の銀行は通帳に数字を書き込む。
借りた方は実際に働いて、稼いで返さないといけないのじゃ。
実際に働くっていうことは、いつもより長く働いてパンをたくさん作ることかもしれない。
借りたお金で大きいオーブンを買って、パンを効率よく作ることかもしれない。
これはどういうことかな?
あ、銀行は何もしてないのに、人を働かせているってこと!?
やっぱり何かずるい気がする!!
そういう風に考えるのはよくわかる。
けれど、思い出してごらん。
お金は【価値の交換ゲーム】で使うものじゃろ。
新しくお金(数字)を作ったら、それにあわせて新しい【価値】を作らねばならないのじゃ。
借りた方は働かさていると考えてしまうが、本当にそうじゃろか?
たとえば、とらごろが家を建てたいと思っているとしよう。
家を建てるためには1万円必要だが、とらごろは持っていない。
そこでとらごろは銀行から1万円借りた。
とらごろはその1万円を使って、しろたろやくろたろに頼んで家を建てることができた。
そのかわりに、働いて1年間かけて銀行にお金を返したのじゃ。
とらごろはたしかに働いたが、代わりに家を手に入れることができたのじゃ。
ボクは家を手に入れることができたんだ。
その分を働いて返しただけなのか。
これってどういうことかな。。。
あ、お金を借りるってことは、先に【価値】を使えるようになるってことか!!
そうじゃ!
お金を借りると、今、お金を使っていろんなモノやコトという【価値】を手に入れられるのじゃ。
その【価値】分のお金を時間をかけて返すことが、返済するということじゃ。
すこし難しく言うと、お金を借りるということは、
未来の【価値】を今手に入れることができるということなんじゃ。
すこしずつ材料を集めて、組み立てて、また材料を集めて、、、家を建てるには時間がかかるけど。
お金を借りると、今すぐ家を建てることができるんだね。
結局、その分は後で働いて返さなきゃいけないけど、、、
みんながお金を借りて、今欲しいものを手に入れることができるようになったらどうなるかな?
みんなが今すぐ、家を建てたり、車に乗ったりできる。
すごく便利になるんじゃないかな。
あとで働かなきゃいけないことは忘れがちだけど、、、
そうなのじゃ。
銀行がお金を貸すということは、借りた人たちがそのお金を使って、今、便利になるのじゃ。
銀行がどうやってできたのかは別の機会に話をしようと思うが、ざっくりと言うとな。
昔は今よりずっとモノやコトが少なかったのじゃ、そんな時代にお金をうまく操る銀行ができたのじゃ。
お金を借りた人たちは、どんどん新しい家を建てたり、新しい工場を建てたり。。。
これまでできなかったことができるようになったのじゃ。
すると、すごい速さでみんなが豊かになっていったのじゃ。
すごいなあ。
人間ってやっぱり面白い生き物だな。
銀行がお金を貸すと社会が豊かになっていくのか。。。
そうじゃな、善いか悪いかはすこし置いといて、
銀行がお金を貸すことで社会に大きな影響を与えているのは間違いないと思うのじゃ。
お金を交換するときには実際のモノやコトが動くのじゃからな。
誰にお金を貸すかで社会の形が決まると言ってもよいと思うぞ。
さて、長い前置きになってしまったが、金利の話をしようかの。
銀行は、ゼロに戻るお金を貸していたんじゃな。
けど、それをしていても銀行は損も得もしない。
だから銀行は金利という手数料をとるんじゃ。
実際に考えてみようか。
たとえば1ヶ月で10%の金利をとると考えよう。
とらごろは銀行から1,000円借りた。
1ヶ月以内になら、1,000円そのまま返すだけでよい。
1ヶ月過ぎたら、1,100円を銀行に返す(1,000円+100円=1,100円)。
2ヶ月過ぎたら、1,210円を銀行に返す(1,100円+110円=1,210円)。
3ヶ月過ぎたら、1,331円を銀行に返す(1,210円+121円=1,331円)。
4ヶ月過ぎたら、1,464円を銀行に返す(1,331円+133円=1,464円)。
・・・
12ヶ月過ぎたら、3,137円を銀行に返す(2,852円+285円=3,137円)。
金利というのはこういうものじゃ。
銀行も稼がないといけないから、手数料は必要だね。
けど、1年後には借りた3倍以上になってるよ!!
そんなのおかしいよ!!
この例えはわかりやすいようにわざと高い金利で考えたからの。
実際はもっと少ない金利じゃよ。
けれどな、ここで大事なのは時間とともに手数料が増えてしまうということじゃ。
これがどういうことかわかるかな?
えーと、、、
ボクは時間が経てば立つほど損するってこと?
そうじゃ!
損するってことはどうなるかな?
損するから、できるだけ早くお金を返そうとするかな。
そうじゃな!
できるだけ早くお金を返すためにはどうすればよいのじゃ?
たくさん働いたり、できるだけ効率よく仕事をすることを考えるよ。
そのとおりじゃ!
金利という手数料があると、人はできるだけ早くお金を返そうとするのじゃ。
そのためには、多く働いたり、効率よく仕事したりと工夫が必要になるのじゃ。
それってどういうことだろ?
どういうことじゃろうな。
金利があるとそれぞれがどういうふうに動くか、お金はどうなるか?
さらに深く考えてごらん。
自分で考えることはとても大切じゃぞ。
今日はここまでにしておこうか。
そういえばしろたろがお前に会いたがっておったぞ。
新しい寝床を見つけたらしいのじゃ。
ありがと。
すこし考えてみるね。
しろたろの寝床、どんなところだろ。
ちょうろも一緒に見に行こうよ!
とらごろはいつも好奇心でいっぱいだのお。
わしはここで十分じゃ。
公民館の横の細道から行けるみたいじゃぞ。
行っておいで。
とらごろは元気いっぱいに公民館の方へかけていきました。
お金のお話その3 簡単まとめ
銀行がお金を貸すということは
銀行は通帳に数字を書く。
借りた人は実際に働いてお金を返す。
つまり、銀行は人を働かせている?
いや、お金を借りるということは、
未来の【価値】を今手に入れることができるということ。
借りた人は後で返さねばならないが、
その分の【価値】は借りた人が得ている。
銀行がお金を貸すことで、未来の【価値】を一気に使える。
その結果社会が飛躍的に豊かになる。
(お金を貸す特権についてはとりあえず善悪を保留しておく)
この仕組みだと、銀行は損も得もしない。
実際には、金利という手数料で銀行は稼いでいる。
金利がかかるということは、
返済が遅れると返す人が損をする。
損をしないようにできるだけ早く返そうとする。
働く時間を増やしたり、効率を上げる工夫をする。
その結果、社会はどういうふうに進むのか?
自分で考えてみよう。
さて、今回はどうだったでしょうか?
次回は、金利と銀行、社会の形についてのお話です。