お金のお話 その2
お金はいつ増える?
とらごろが神社の影ですずんでいるちょうろのところに走ってきました。
ちょうろセンセ、この前はありがとう。
お金について知りたかったんだけど、すこしわかった気がしたよ。
けど、考えたらわからないこともたくさん出てきたんだ。
今日はもう少し教えてくれないかな?
そうかそうか、とらごろは本当に好奇心があるのお。
お金は不思議で難しいものじゃ。
人間たち自身があまりわかってないのだから、とらごろがわからないのも無理はない。
わしだってまだわからない部分もあるのじゃから。
そうじゃのお、今日はお金のどういう話をしようかの。
前に聞いた時、お金は【価値の交換ゲーム】で使ってる数字だって言ってたよね。
意味はわかったような気がするけど、、、
お金は実際にどんなふうに使われてるのかな?
前回はお金とはどういうものかを説明したんじゃが、
実際にどうやって使うのかは言ってなかったな。
とらごろは自分で使ったことがないけど、人間が使っているのを何度も見てるじゃろ?
うん、何度も見たよ。
お店に行ったら、モノには値段が書いてあるんだ。
その値段のお札やコインをお店の人に渡したらモノと交換してもらえるんだ。
特選まぐろ猫缶は500円で、チュールは5本300円って書いてあるよ。
そうじゃそうじゃ。
モノと交換したらお金は減るじゃろ。
逆にお金はどうやったらもらえるのかな?
それは簡単だよ。
モノを誰かに買ってもらったらいいんでしょ?
たしかにそうじゃ。売るってことじゃな。
けど、【価値の交換ゲーム】ではモノやコトなんでも交換できるから、モノだけじゃないぞ。
誰かに何かを教えたり、肩叩きするってコトも交換できるじゃろ。
とらごろは愛嬌があるから、座ってるだけでも誰かがお金を払いたくなるかもしれんのお。
それらすべてのコトにも値段をつけて、お金と交換できるのじゃ。
農家のおじいちゃんは野菜やお米というモノを売っておるのじゃ。
先生はみんなが知らないことを教えるというコトを売っておる。
みんながそれぞれ【価値】あるモノ・コトを売ったり買ったりしておるんじゃよ。
そうやってみんながお金を使って【価値】を交換しているんだね。
そうじゃそうじゃ。
ここまでは簡単じゃろ?
ここからはすこし難しいぞ。
みんながただ【価値】の交換をしていると、お金という数字は増えたり減ったりしないのじゃ。
え、どういうこと?
ボクが猫缶を買ったら、ボクの数字が500円分減るよ。
とらごろの数字は減るのお。
けれど、その数字はそっくりそのまま店員さんに渡されるじゃろ。
あ、そうだね。
ボクから見たら減っているけど、店員さんから見たら増えてる。
お金の量は増えも減りしていないな。
そうなんじゃ。
【価値の交換ゲーム】で、モノ・コトを売り買いしているだけではお金は増えも減りもしないのじゃ。
お金はみんなのところを行ったり来たりしてぐるぐる回っておるだけなのじゃ。
全部のお金の合計はいつも同じ量ってことか。
たしかに、みんなが交換しているだけなら合計はいつも同じになるはずじゃ。
けれど、実際にはお金はどんどん増えておる。
これがお金の摩訶不思議なところじゃ。
え、どうやったら増えるの?
ボクが勝手に増やすことはできないって前回言われたよ。
そうじゃの、みんなが勝手に増やしたらゲームがめちゃくちゃになってしまうからのぉ。
だから増やすためのルールがあるんじゃ。
どうやって増やすか考えてごらん。
えーと、お札やコインを造って増やしてるのかな。
お札やコインは、数字を実際に交換するために使う交換券と言ったじゃろう。
お札やコインは言わば入れ物のようなものじゃ。
入れ物を増やしても中身は増えないじゃろ。
そうか、ボクは入れ物と一緒に数字も増やすんじゃないかと思ったんだけど、、、
そうじゃな、たしかにそう考えてしまうかもしれん。
けれどそれはできないんじゃ。
そもそも、銀行にある数字はお札やコインより10倍以上もあるんじゃ。
お札やコインが増えるということは、入れ物である引換券が多くなるだけなんじゃよ。
お風呂の水(銀行の数字)をコップ(お札やコイン)ですくって使うのに似ているな。
コップを増やしても水は増やせないじゃろ。
じゃあ、偉い人、たとえば総理大臣が増やしてるのかな。
総理大臣がお金を増やして配るのかい?
あ、それは間違いだね。
総理大臣は人のお金を配ってるかもしれないけど、、、
う〜ん。
わかんないや。。。
わからなくても無理はない。
どうやってお金が増えているのか、多くの人間も知らないんじゃ。
実はな、お金は借金で増えておるのじゃ!!
借金???
詳しく言うとな、お金は誰かが銀行に借金することで増えるのじゃ!!
銀行に借金???
摩訶不思議だがそうなんじゃ。
すこし説明する必要がありそうじゃな。
たとえば、とらごろが銀行に行って500円借りるとするじゃろ。
すると銀行は500円という数字をとらごろの通帳に書き込んでくれるのじゃ。
とらごろの500円は借金じゃな。
逆に銀行にとっては500円貸したということになる。
ほら、500円が増えたじゃろ?
え?ちょっと待って!!
そりゃ嘘だよ。
だって、銀行がボクにお金を貸したってことは、銀行からその分のお金は減るよ!
普通はそう考えるじゃろうな。
けれど実際はそうじゃない。
銀行は、銀行が持っているお金と関係なしにお金を作り出して貸せるんじゃ。
(本当は元手がすこし必要だが、ここではわかりやすくするため省略しておる、詳しく知りたい方は銀行の「信用創造」を調べくだされ)
じゃあ、銀行はお金を作り放題じゃないか!?
銀行だけずるいよ!
たしかにそう考えるのもわかるがの。
もう少し説明させてもらうぞ。
銀行が作り出したお金は、とらごろが借金を返したら消えるのじゃ。
とらごろが銀行から500円借金した。
この時、銀行はとらごろの通帳に500円と書き込んで、それと一緒に借用書という紙を持つんじゃ。
とらごろは500円を1ヶ月後にすべて返したとしよう。
すると、銀行は借用書に「完済」と書き込む。そしてとらごろの借金が消えるのじゃ。
わかったような、わからないような、、、
まだわかりにくいかもしれないのお。
とらごろは銀行から500円借りた。
とらごろの手元のお金は+500円に増えておる。
(このとき、みんなが持っているお金の総量も500円分増えたことになる)
銀行はこの時、借用書という紙を持つんじゃったな。
借用証は、-500円と書いてあると考えればいい。
とらごろは毎日50円ずつ銀行にお金を返す。
すると、銀行が持っている借用書の数字は、−450円、-400円、-350円とゼロに近づいていくのじゃ。
10日後には借用書の数字は0になるじゃろ。
とらごろにお金を貸した時、たしかに500円分のお金が増えたのじゃ。
けれど、とらごろがお金を返したら500円分増えたお金は0に戻るのじゃ。
すこしわかったよ。
銀行はお金を増やしても、その分のお金は銀行のお金じゃないんだね。
返してもらったら0に戻るから、銀行のお金は増えたり減ったりしていないもんな。
そうじゃ、とらごろの言うとおりじゃ。
一番最初から言ってることじゃが、やはりお金は数字じゃろう?
お米や野菜はマイナスのお米、マイナスの野菜なんてないんじゃから。
銀行は、【価値の交換ゲーム】の中で特別な役割を持っておるのじゃ。
お金を誰かに貸すことで、作り出せるという役割じゃ。
そのお金は返してもらうとゼロに戻る不思議なお金じゃ。
なぜこういう役割になったのか、
このお金はどういう意味を持つのか、、、
まだまだいろいろと話したいことがあるんじゃが、、、
今日はもう暗くなってしまったのお。
とらごろ、一緒に晩ごはんを探しに行こうか。
そうだね。
いろいろ教えてくれてありがとう!
それにしても人間って不思議なことを考え出すなぁ。
知れば知るほどわからないことが増えてきちゃう。。。
二匹は夕闇を背に森の方へ歩いて行きました。
お金のお話その2 簡単まとめ
今のお金のルール
お金を交換して、売り買いをしているのが【価値の交換ゲーム】。
みんなの間をお金がぐるぐると回っている。
だが、売り買いをしているだけではお金の全体量は変わらない。
お金は、銀行から借金をするとその分増える。
銀行は誰かにお金を貸し出す時にお金を作る。
しかし、そのお金は借金が返されたらゼロに戻るお金である。
銀行自体のお金は減らないけれど、増えもしていない。
さて、今回はとても重要なお話をしました。
次回は、借金で増えるお金とはどういうことか?がわかるかもしれません。
ぜひお読みください。