お金のお話 その1
はじめに
とらごろは、好奇心のかたまり。
とくに人間に興味津々。
毎日ご飯をくれるけど、人間ってどうやって生きているんだろう?
わからないことがあるといつもちょうろに聞きに行きます。
ちょうろはとらごろのいる公園にずっとずっと昔から住んでいる長老猫です。
ちょうろは何年生きているのか、それは誰にもわかりません。
けど、猫たちはそんなこと気にしたことがありません。
だって、自分の歳だって気にしないのですから。
このブログは、とらごろとちょうろのお話です。
とらごろやちょうろにとってはいろんな物事がどういうふうに見えてるでしょう?
お金って何?
とらごろが梅の木のふもとにいるちょうろのところに走ってきました。
ちょうろセンセ、僕が人間世界でいつも不思議に思っているモノがあるんだけど。
それは、お金ってやつなんだ。
人間たちが時々持っているあの紙切れがお金だよね?
あれって何なの?
お金か、たしかに不思議なものじゃ。
とらごろはお札のことを言っていると思うんだけど、お金ってお札だけじゃない。
コインは見たことがあるかい?
あ、コインも見たことあるな。
猫缶と交換してたのを見たよ。
なんでコインで猫缶を交換できるんだろう?
なぜかと言われると、そういうルールなんじゃとしか言えないな。
人間はいろんな遊びをしてるのは知っているだろう。
たとえば、政治とか、スポーツとか、宗教とか、戦争とか、法律とか。。。
猫の世界にもゲームのようなものはあるけど、人間はとてもたくさんゲームをしておるんじゃ。
お金を使ったゲームもその一つなんじゃ。
わしはお金を使ったゲームを【交換ゲーム】と呼んでいる。
いろんなモノを交換するゲームじゃ。
そう言われたら、ゲームみたいだね。
ボクたちは追っかけっことかするけど、人間はもっといろんなゲームをしているな。
お金は【交換ゲーム】で使う交換券のようなものじゃ。
交換する時に使うと便利じゃろ。
けれど、実は紙のお札やコインだけがお金じゃない。
むしろお金はモノでさえもないのだよ。
え、どういうこと?
お金はお札やコインだけじゃなくて、モノでさえもないの?
お金は銀行ってところに預けてあるんじゃ。
どれくらい預けているのかは、通帳というものに書いてある。
実は通帳に書いてある数字こそがお金の正体なんじゃ。
え、数字なの!!
数字って頭の中にあるものだよね。
モノがいくつあるか数えるために使うよね。
そうじゃ、お金は頭の中にある数字なんじゃ。
銀行から銀行へお金を渡す時には、数字だけを移動させるんじゃ。
たとえば、わしがとらごろに100円を送る時は、わしの通帳の数字が100減って、
とらごろの通帳の数字が100増えるのじゃ。
けれど、実際に手渡しで100円を渡したい時には、数字をモノに印刷して渡す必要があるじゃろ?
お札やコインは銀行の数字が印刷されたモノなのじゃ。
モノになると実際に数字を渡すことができるようになるじゃろ。
そっか、お札やコイン自体はただの紙や金属だけど、
そこに数字が書いてあるから使えるんだ。
けど、ただの数字だとしたら、自分で勝手に増やしたりできないのかなぁ。
ただの数字だったらそんなの簡単にできそうだけど。。。
ゲームにはルールがあるじゃろう。
みんなが勝手に数字を増やしたら交換ゲームがめちゃくちゃになる。
だからいろんなルールが決めてあるんじゃ。
猫はそんな面倒くさいことやらないが、人間はゲームとルールが大好きじゃ。
へぇ、そういうものなんだ。
お金は数字だけど、勝手に増やしたりできないんだ。
けど、やっぱり数字っていうのがしっくりこないなぁ。
お金は昔は金や銀とかお米とか、実際のモノが使われてたからね。
モノだと思うのも無理はない。
けれど、今の人間たちが使っているのはただの数字なんじゃ。
ただの数字になったのにはいろんな理由があるんじゃが、それは今度話しをしよう。
とりあえず話をすすめようか、交換ゲームでは何を交換できるんじゃ?
えっと、魚やお米やお野菜、金や銀や、何かを教えてもらうこととか、
映画のチケットとか、航空券とか、、、
人間ってあらゆるモノ、いやモノだけじゃないいろんなコトも交換してるなぁ。
ありとあらゆるモノ・コトを交換してるんだから、
それを交換するための何かしらの基準を作る必要があるじゃろ。
とらごろは定規を知っておるな?長さを測るものじゃ。
とらごろのしっぽの長さは27センチだったな
(昨日ちょうど人間に測られているのを見ていたぞ)。
1センチという長さの基準があると、あらゆるものの長さを比べられるんじゃ。
交換ゲームでも、同じように基準があるのじゃ。
お金は、数字と【円】を使ってはかっているのじゃ。
とらごろが好きな特選まぐろ猫缶はちょうど500円だったな。
だから500円と書いてある500円玉と交換できるのじゃ。
あ、そういうことか!?
けど、長さはわかるけど、交換ゲームでは何を測ってるの?
そうじゃ、何を測っているのかが大切じゃ。
ありとあらゆるモノ・コトを交換できるんじゃったな。
それらの何を交換しているか、わしは一言で言うと【価値】だと思うんじゃ。
【価値】!? 価値ってどういうもの?
【価値】とはすごく難しい考えじゃ。
【価値】が何かは自分でしっかり考えてごらん。
ここでは、とりあえずすごく単純に考えてみようか。
とらごろにとって、煮干しは大切なものじゃろう?
美味しいし、お腹がいっぱいになるからな。
【価値】は、それがどのくらい大切かということなんじゃ。
つまり、交換ゲームは【価値の交換ゲーム】なんじゃよ。
お金は、【価値の交換ゲーム】で、価値を交換する時に基準として使う数字なんじゃ。
【価値の交換ゲーム】か!!
けど、大切さって数字で測ることが本当にできるの?
ボクはお腹すいてる時は煮干しが大切だけど、お腹いっぱいの時は大切だと思わないよ。
ちょうろのことも大切だけど、しろたろやくろたろも大切だよ。
煮干しや、ちょうろやしろたろたちも全部一緒くたにしてお金で測るってことでしょ?
とらごろはすごいぞ。
わしもそう思う。
【価値】を一つの数字の基準で測ることは難しいと思うんじゃ。
けれど、【価値の交換ゲーム】をするためにしょうがなく使っているのだと思うのだよ。
お金を使うと【価値の交換】が誰とでもできるし、
どんなモノ・コトともできるからものすごく便利なのじゃ、
本当は測ることが難しいとはわかっていても便利じゃから使うのだろうな。
ボク気づいたことがあるよ。
何かボクには馴染みのない考え方だなと思ってたんだけど、、、
何かを交換するってことは、そもそも何かを持ってないとできないんじゃないかな?
とらごろは本当にすごいぞ。
そうなんじゃ、【価値の交換ゲーム】をやるためには、それを持っていないといけないんだよ。
難しく言うと、【所有している】必要があるんだ。
わしら猫は何かを持っているってあまり考えないものじゃが、
人間は何でも自分のものと人のもの、って分けて考える癖があるようなんじゃ。
服や靴や車や土地とか、これは自分のものだって言うんだ。
よく考えたら、土地なんて誰のものでもないような気がするんじゃが、、、
わしらだって誰かに飼われたらその人間の持ち物の一つに数えられるんじゃよ。
わしらは自分が誰かの持ち物なんて考えたこともないけど、
人間たちはそういうゲームをしてるのじゃ。
わしはこれを【所有ゲーム】と呼んでおるぞ。
【価値の交換ゲーム】は、その前に【所有ゲーム】をしてるってことなんだね。
そうじゃ。両方ともゲームだとわしは思うんじゃ。
人間たちは面白い生き物じゃぞ。
どんどんいろんなゲームを生み出して、鏡もちのように重ねていくんじゃ。
そのうち、そもそもどんなゲームをしていたのか、
何を目指しているのかわからないままゲームを続けていることがたくさんあるんじゃ。
実はな、【価値の交換ゲーム】も、今では別のゲームが重なっていると思うぞ。
【価値の交換ゲーム】は、大切なもの=【価値】を交換するゲームだったじゃろう。
このゲームをやりやすくするために、お金という数字の基準がある。
けど、やっているうちに気づいたんじゃ。
お金っていう数字を持っていたら、いつでも何とでも交換できる!
万能で、【保管】もできてしまう魔法のような数字だ!!
ゲームをやっているうちにお金という数字自体がとても価値のあるものになってきたのじゃ。
とても不思議なことじゃろう?
とらごろは煮干しとかチュールが好きだけど、一週間くらいたったら腐って食べられなくなる。
けど、お金はただの数字だからいつまでたっても腐らないんじゃ。
今日はそこまで話しないが、お金は金利っていうもので逆に増えるんじゃよ!!
煮干しは決して勝手に増えないんじゃが。
交換の基準だったはずのお金が、その万能さゆえにみんなが欲しがるようになったのじゃ。
【価値の交換ゲーム】では、もともとは実際に交換するモノやコトが大切だったのじゃ。
もちろん今もそのゲームは続いておる。
けれど、今は交換するモノやコトよりも数字のお金を集めるゲームをしている人が多くなっておるのじゃ。
わしはこのゲームを【数字集めゲーム】と呼んでおるぞ。
やっぱり人間って面白いなぁ。
【所有ゲーム】の上に【価値の交換ゲーム】があって、さらにその上に【数字集めゲーム】があるんだね!
けど、【数字集めゲーム】ってどういうものなのかな?
あ、考えてたらお腹空いてきちゃった。。。
ご飯探しに行かなくちゃ。
ちょうろセンセ、ありがとう!
またお話聞かせてね!
わしも楽しかったぞ。
わしはそろそろ一眠りしようかの。。。
お金のお話その1 簡単まとめ
人間は【価値の交換ゲーム】をしている。
お金は【価値の交換ゲーム】で、価値を測る基準としての数字である。
【価値の交換ゲーム】は、前提として【所有ゲーム】をしている必要がある。
人間は、いろんなゲームを次々生み出して、鏡もちのように重ねていく。
お金は【数字】だけど、ありとあらゆる価値を交換できる【数字】で、しかも自然のモノと違って【腐ることがない】。
だから持っていると価値を【保管】できる。
あらゆるものと交換できて、減らずに保管できるから、お金自体にすごい価値があることになった。
今は【価値の交換ゲーム】の上に、【数字集めゲーム】が重なっている。
さて、今回のお話はいかがだったでしょうか?
お金のお話は複雑怪奇なので、まだまだ続きそうです。。。